影鳥海と笙ガ岳
鳥海山 鉾立ルート 笙ガ岳
2008/6/28 星空 → 快晴 のち 曇り
鉾立 0:56 → 雪渓にのる 1:15 → 御浜 2:00~10 → 七五三掛 2:40 → 文殊岳 2:58 → 百宅口分岐 3:41 → 七高山 3:59
百宅口分岐 4:52 → 新山 5:16~58 → 山頂小屋 6:02~09 → 千蛇谷末端 6:33 → 七五三掛 6:44 → 御浜 7:36 → 笙ガ岳 8:24~51 → 河原宿 9:28 → 夏道 9:46 → 鉾立 10:17
28日は休日であったが、一人だけ午後から休日出勤する人を一週間以上も前に決めた。週間予報で28日が晴れると分かっていたら断っていたのだが、まだ週間予報も出てなかったし、もう梅雨入りしている頃なので天気は良くないだろうと思っていて引き受けた。
ところが、梅雨入りした模様と告げられても、梅雨らしくない天気が続き、特に28日は高気圧に覆われ、絶好の行楽日和であった。休日出勤を引き受けていなかったらどこに登ろうか迷っていただろうが、午後からの出勤に間に合うように登ってくるとしたら鳥海山しかなかった。
夜明けの頃の山頂のピンポイント予報は曇りであったが、天気図からみると影鳥海が見られるチャンスと判断し、鉾立から夜行で登ることにした。日の出時刻を調べると、夏至から一週間しか過ぎてないので、4:07分と思っていたより早かった。月の出を調べると23:45分で月齢は24と夜行にはまずまずの条件であった。
鉾立に向かう途中、鳥海ブルーラインに乗る前、月が鳥海山よりも低い位置に見えていた。鉾立に到着した頃、月は鳥海山に隠れていて、天の川も見える星空だった。眼下には夜景がはっきりと見えていた。いつもの時期ならイカ漁の漁火がたくさん光っているのだが、今年は少なかった。
準備を終えて登り始める頃、月が現れた。ヘッドライトの明かりを頼りに登りはじめて直ぐに、奈曽渓谷の白糸の滝の展望台から山頂のシルエットが望めた。山頂にガスがかかっていない事が分かり、影鳥海への期待が一段と強くなった。
風もなく滝の音だけが奈曽渓谷にこだましていた。滝の源はこの先にある雪渓の融雪水である。今回の最大の不安は雪渓でルートを見失わないかという事であった。祓川から登った方が、鉾立より距離も短いし遅い時間に登り始めてもいいのだが、今の時期はまだ殆ど雪渓を歩くことになる。藪が出てなくて登山道に関係なく登れる時期はそれでもよく、前回は祓川から登ったが、登山道を見失いやすい今の時期は鉾立から登った方がいい。
やがて雪渓に着いた。はっきりしたトレースがあればと期待をしていたが、分からなかった。しばらくは登山道の脇の笹薮沿いに進む。月明かりが残雪に反射し、周りは少し明るくなった。ヘッドライトの明かりでルート旗を探しながら進む。途中で夏道が出ている箇所を2つ通り、賽の河原辺りに到着した。ここで雪渓を横切らないといけないので、笹薮から離れルート旗を頼るしかない。所々で石畳が出ていたので助かった。賽の河原から御浜へ向かう登りに遅くまで雪が残っている。ここで一度、道を間違えて雪渓を登ったら、行き止まりになった。引き返したらすぐルートが見つかった。
雪渓が終わって夏道に無事到着して、ひと安心した。御浜小屋のすぐ横を通り過ぎる時、もし寝ている人がいればと思い、熊鈴の音を消して通った。
御浜に到着すると酒田市の夜景が明るかった。山頂も良く見えていた。足元には高山植物がたくさん咲いていて、下山時にまた通るのが楽しみになった。
御浜から七五三掛までに2箇所雪渓が残っていたが、月明かりで見えている地形を頼りに通過できた。
七五三掛からは夏道のすっかり出ている外輪コースで山頂に向かった。文殊岳を過ぎて振り返ると、酒田市の夜景がまばゆく、千畳ヶ原~笙ガ岳に残った残雪が月明かりで浮かび上がっていた。
飛島の灯台も点滅するように光っていた。千蛇谷を覗き込むと、雪渓は山頂小屋の方まで繋がっているようだった。東の空が明るくなってきた。ますます影鳥海の出現が期待された。登山道沿いの草木についた夜露で足元が濡れた。伏拝岳を過ぎる頃には空が白みイワヒバリが早くもさえずり始めた。斜度もゆるくなった稜線を早朝の散歩のように気持ち良く山頂に向かった。
百宅口分岐にたどり着くと、東側の低い空には雲海が広がっていた。地平線近くも霞んでいて、影鳥海が現れるかは確信が持てなくなった。山頂小屋はひっそりとしていて、営業はまだのようだった。七高山に移動し、日の出を待った。
和賀岳と早池峰山のほぼ中間地点から、太陽が徐々に姿を現してきた。太陽の色は真っ赤だったが、届く光は弱弱しかった。やはり地平線近くの霞が影響していた。
七高山から戻って、影鳥海の出現する方向を凝視し、うっすらとでもいいから出てほしいと願った。太陽が顔を覗かせてから10分以上経過していた。太陽の方向と新山の位置から影が出る方向を何度も確かめたが、影は現れなかった。
昨年の同時期に影鳥海を見た時は、新山の山頂からであった。外輪からは見れないのではと考え、急いで新山に渡ろうと、荷物をデポしていた所に戻っていた時、太陽の光が増し始めた。振り返ると影鳥海がうっすらと現れ始めた。思っていたところより南側に出てきた。太陽は輝きを増し雲海と残雪が暖かい光に染まっていた。
影鳥海が現れてから、何回もシャッターを切った。うっすらとしていた影がじわじわとはっきりしてきた。
長く伸びた影鳥海の山頂は酒田港沖に達していた。
影鳥海は徐々に短くなり、暫くしたら消えてしまうだろうが、十分堪能したので、まだ影鳥海は出ていたが、新山に向かうことにした。外輪と雲海のコントラストの幻想的な光景に目を奪われた。
外輪を一旦下って、山頂に向かうため残雪を登った。アイゼンを持ってきていなかったので、まだ日が当たらなく堅い雪渓をキックステップで登った。山頂に到着し、外輪側をみる。
夜景が綺麗だった庄内平野もはっきりと見えていた。
山頂で朝食を食べ終わったころ、外輪を見ると三脚を立てて写真を撮っている人が一人見えた。日本海側が良く見下ろせるピークに移動した。残雪と緑のコントラストの今の時期もいい。海岸線もくっきりと見えていた。
海岸線を辿って北側に目をやると、明け方は見えていなかった白神山地が見えていた。白神岳は日本海の海岸線が湾曲しているため、鳥海山から見ると日本海に浮かんで見える。先日、桑ノ木台湿原から鳥海山がはっきり見えていたのだから、山頂から桑ノ木台湿原が探せるのではないかと思い山麓を見渡すと、それらしい平原を見つけた。地図と地形を照合したら間違いなく桑ノ木台湿原だった。実際に湿原に入ってみて広かったのは分かっていたが、山頂から見て初めて、その時の湿原は一部分しか見ていなかったことが分かった。実際はその3倍位の広さであった。新山の岩にはツガザクラがこれから咲きそろうとしていた。新しいトイレの基礎工事を昨年の秋に見たが、それから冬になって完成を見ていなかった。新しいトイレはどうなのかを見に山頂の大物忌神社に立ち寄った。山頂からは急傾斜の雪渓を慎重に下った。トイレは完成したものとばかり思っていたが、基礎のコンクリート打ちまで終了した状態だった。完成までにはまだ日がかかりそうだ。営業前の小屋には人の気配がなかった。大物忌神社の本殿にお参りしようと鳥居をくぐったが、戸に鍵がかかっていたので、外から拝んだ。チョウカイフスマは葉は見受けられたが、花はまだ見えなかった。
暗い時間に外輪コースを通ってきたので、下る時も花を見ながら外輪を戻ろうと最初は計画していたが、山頂付近でも十分に見られたので、千蛇谷の雪渓を下ることにした。まだ日が当たっていなかったが気懸かりだったが、アイゼンなしでも下れた。思っていたより雪の量が多く、山頂小屋直下から雪は繋がっていた。外輪からの落石が雪渓の上に転がっていた。
千蛇谷末端から振り返って
千蛇谷から七五三掛に戻るトラバースのルートにはまだ雪が残っていたが、トレースが道状になっていたので、怖くはなかった。七五三掛でようやく人と出会った。そこからは多くの人とスライドした。
千畳ヶ原の上部には雪が融け、池塘が現れていた。ここからは写真を撮りながらのんびり下った。
御田ヶ原分岐から御浜を越え笙ガ岳までイチゲが見頃を迎えて見受けられた。御田ヶ原のお花畑から山頂を振り返って
扇子森で山スキーを背負った人とすれ違った。千蛇谷を滑るのであろうか。それとも心字雪渓か。
鳥海湖の付近でもイチゲが見頃であった。
御浜までは団体のパーティとはすれ違わなかったので、ずっと静かであった。御浜小屋を過ぎて笙ガ岳に向かって間もなく、賽の河原から団体が上がってきていた。
御浜~笙ガ岳分岐のコースはカメラマンが多かった。イチゲと鳥海湖と山頂が写った画を撮りたがったが、ベストのポジションでは既にイチゲが終わっていた。別の所で撮ったが、いまいちだった。
今月の山渓の中の全国隠れ名山のコーナーで、訪れる人も少なく、迫力ある鳥海山が見られ、庄内平野が近く望め、これからの時期は登山道のすぐ横まで花が咲くという内容で笙ガ岳が紹介されていた。今までひっそりとしていた笙ガ岳もその記事で訪れる人が増えているかと思ったが、そうでもなかった。登山道沿いの花をめでながら誰もいない道をのんびりと歩く。雲が少し出てきた。
笙ガ岳に到着する。庄内平野が近い。山頂方面でヘリコプターの音がしていた。初めは遭難した人でも探しているのかと思っていた。ヘリコプターが山頂から笙ガ岳の方へ向かってきた。ヘリコプターは笙ガ岳の山頂をかすめ、海岸線の方へ降りていった。つい手を振ってしまう。
誰もいない山頂でのんびりとしていたら、先程のヘリが荷物をワイヤーで吊り上げて飛んできた。山頂の小屋へ物資を運んでいたのだった。その後鉾立に降りるまで、何回も往復していた。
初めの頃はヘリが飛ぶのが良く見えていたが、次第にガスが上がってきて見えなくなった。
山頂神社に物資を届けるヘリを笙ガ岳から遠望する。
もっとゆっくりしたかったが、ガスが沸き立ち、庄内平野も山頂も見えなくなってしまったので、下山した。
道の傍に咲いていたヒナザクラ。岩峰を過ぎて左側に群生していた。
そのヒナザクラの群生の横の道を辿ると池塘がある事を初めて知った。イワイチョウが咲く池塘を過ぎると河原宿の前の雪渓にたどり着いた。雪渓からは多くの登ってくる人とスライドした。上空には姿は見えないがヘリの音が行き来していた。雪渓から夏道に変わると、ガスの中に突入した。ボードを背負った4人組みとスライド。どこを滑るのか訊いてみたかった。登るとき見られなかった白糸の滝は帰りはガスでよく見られなかった。鉾立ではガスは晴れ上空に雲がかかっていたが、下の景色は良く見えていた。
新しくなった稲倉山荘に入ってよく見てみたかったが、仕事があるので、次の機会にと帰路に着いた。
今回見られた花
タカネニガナ、シロバナニガナ、ウラジロヨウラク、シラネアオイ、タニウツギ、レンゲツツジ、ヨツバシオガマ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、ミツバオウレン、コウジオウレン、ベニバナイチゴ、コメバツガザクラ、イワウメ、イワカガミ、ミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲ、チングルマ、ミネザクラ、ホソバイワベンケイ、ハクサンチドリ、ニッコウキスゲ、イソツツジ、オオバキスミレ他























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